1.売上高の変化を確認・比較しよう
変動損益計算書で売上高をチェックするときのポイントは次の3つです。
①当期実績と目標とのズレを確認する
②当月実績と前年同月とのズレを確認する
③時系列で売上高の推移をみる
これらの経営の変化は、会計帳簿がデータ化されていれば瞬時に確認することが可能です。
また、これらは、TKCシステムご利用の場合は標準レポート「月次決算報告シート」で確認することもできます。
特に同レポート内の「取引先別売上高推移表」や「部門別売上高推移表」に注目し、数字の変動の背景を考えてみることは重要です。
2.売上高アップのヒント
基本的に、売上高は「販売単価×販売数量」で決まるため、販売単価を上げるか、販売数量を増やすか、そのいずれかの手立てを講じれば、売上高アップを目指すことができます。
販売単価と販売数量、どちらを重視するのかを決めるのも大事な経営判断の1つです。税理士との会話において「自社の強みは何か?」について考えてみることで、経営のヒントを探ってみましょう。
また、売上高を伸ばす方法のひとつに、社内体制の見直しもあります。
〇請求の管理
請求漏れが起こると大きな損失を発生させることになります。次のポイントを確認し、請求漏れやミスを防ぐ仕組みづくりに取り組みましょう。
①納品情報と請求情報の照合、請求情報と入金情報の消込が行われているか
②売掛金の入金が遅れたときに、すぐ把握できる仕組みができているか
③領収書の番号管理や、値引き返金時の領収書入手が行われているか
〇営業活動の管理
次のような視点から、社内で営業活動の管理や情報の共有・活用が行われているのか、あらためて確認してみましょう。
①営業日報を活用できているか
②営業のターゲットは明確にできているか
③商談の進捗状況を把握できているか
1.免税事業者からの仕入における課税事業者の留意点
(1)取引への影響に配慮して、インボイスを発行できない免税事業者等からの仕入について、制度実施後6年間は、経過措置として仕入税額相当額の一定割合を、仕入税額控除可能とする経過措置が設けられていることに留意する。
(2)消費税の性質上、免税事業者も自らの仕入に係る消費税を負担しているため、その負担分が免税事業者の取引価格に織り込まれる可能性があることにも留意する。
(3)免税事業者である小規模事業者は、売上先の事業者と比して取引条件についての情報量や交渉力の面で格差があり、取引条件が一方的に不利になりやすい場合も想定される。そうした状況の下で取引条件を見直す場合、その設定方法や内容によっては、独占禁止法、下請法、建設業法等により問題となる可能性があることに留意する。
(4)免税事業者である仕入先との取引条件を見直すことが適当でない場合に、仕入税額控除できる額が減少する分について、原材料費や諸経費等の他のコストとあわせ、販売価格等に転嫁することが可能か、売上先等と相談することについても検討する。
2.独占禁止法等により問題となる行為
販売先がその立場を利用して、免税事業者が不利益を被るような要請や強要等を行った場合、優越的地位の濫用として、独占禁止法や下請法等により問題となるおそれがあります。
優越的地位の濫用にあたる行為とは、取引上の立場の強い取引先からの要請等を、その取引の相手方である免税事業者が、今後の取引に与える影響を恐れて一方的に不利な取引条件をのまざるを得なくなるものが該当します。具体的には、次のような行為が挙げられます。
〇取引対価の引下げ
仕入税額控除ができないことを理由に取引価格の引き下げを要請し、再交渉において、双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、独占禁止法上問題とならないが、再交渉が形式的なものにすぎず、仕入側の事業者(買手)の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格を設定した場合
〇商品・役務の成果物の受領拒否、返品
仕入先から商品を購入する契約をした後において、仕入先が免税事業者であることを理由に商品の受領を拒否、返品すること
〇協賛金等の負担の要請等
取引価格の据置きを受け入れる代わりに、取引の相手方に別途、協賛金、販売促進費等の名目で金銭の負担を要請すること
〇購入・利用強制
取引価格の据置きを受け入れる代わりに、当該取引に係る商品・役務以外の商品の購入・役務の利用を要請すること
〇取引の停止
免税事業者に対して、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格など著しく低い価格を一方的に設定し、不当に不利益を与えることとなる条件を提示し、その取引条件に応じない相手方との取引を停止した場合
〇登録事業者となるような慫慂(しょうよう)等
(1)課税事業者が、インボイスに対応するために、取引先の免税事業者に対し、課税事業者になるよう要請すること自体は、独占禁止法上問題とはならないが、要請にとどまらず、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げるとか、それにも応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告すること
(2)免税事業者が、当該要請に応じて課税事業者となるに際し、例えば、消費税の適正な転嫁分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来通りに取引価格を据え置く場合
【参考】財務省・公正取引委員会他「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」
1.「経営者保証ガイドライン」が求める「経営の透明性」
経営者保証に依存しない融資慣行の促進・定着に向けて、金融機関には、「経営者保証に関するガイドライン」(経営者保証ガイドライン)に基づく判断が求められています。同ガイドラインの3要件の1つに「財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保」がありますが、これは、金融機関に対して、「正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明すること」で充足するものとされています。その具体的な対応は次の通りです。
①貸借対照表、損益計算書の提出のみでなく、これら決算書上の各勘定明細(資産・負債明細、売上原価・販管費明細等)の提出
②期中の財務状況を確認するため、年に1回の本決算の報告のみでなく、試算表・資金繰り表等の定期的な報告
2.金融機関の認知度高まる 税理士法による「書面添付制度」
税理士法による書面添付制度(税理士法第33条の2と第35条に規定される意見聴取制度の総称)とは、決算書・税務申告書等を作成した税理士が行う「保証業務」の1つです。
税理士だけが行うことのできる業務であり、仕訳までさかのぼって税務申告書の作成過程を検証することから、税務申告書に対して、税理士が一定の保証を与える業務ということができます。
当該書面には税務判断だけではなく、当該企業の事業内容や決算内容の変動要因、社長の経営姿勢等も記載されるため、「融資先の状況把握が簡単にできる」として、融資審査の判断材料や、金利優遇条件の1つとする金融機関も登場するなど、金融機関からの認知度も高まってきています。
事務所名 | 岸野有紀 公認会計士・税理士事務所 |
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