1.労働分配率を他社と比べると…?
労働分配率は、次の算式で求められます。
労働分配率(%)= 人件費 / 限界利益 × 100
人件費には、賃金、給与、賞与、役員報酬、法定福利費等が含まれます。
自社が稼いだ付加価値(限界利益)に対して、人件費がどの程度を占めているのか確認してみましょう。
労働分配率は業種によって差があります。
例えば…(以下出展は「令和5年版 TKC経営指標(BAST)」になります。)
情報通信業:61.9%
製造業、宿泊業・飲食サービス業:54.1%
建設業:53.3%
運輸業・郵便業:51.9%
小売業:50.6%
卸売業:49.0%
2.「適切な労働分配率」はどう管理する?
役員報酬を含む人件費の原則は「労働分配率をおさえながら1人当たりの人件費を高く」することに尽きます。
人件費のうち、役員報酬については限界利益額に占める役員報酬総額の割合をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
人件費を増やすし過ぎれば赤字に転落するおそれもあります。そのため自社に合った適切な労働分配率・給与水準を保つことは大切です。人件費に多くをさけない場合に納得感のある給与水準とするには、⓵年収の時給換算で生産性アップ、⓶柔軟な勤務・給与体系の設定、⓷利益を公平に分配するルールづくり―――といった具体策があります。
3.賃上げの実態
厚生労働省が行った「令和4年 賃金引上げ等の実態に関する調査」では、1人あたりの平均賃金を「引き上げた」または「引き上げる」と答えた企業が全体の85.7%に上りました。
これは、令和3年調査時の80.7%から大きく伸びています。また、1人あたりの平均賃金の改定額(予定を含む)は、5,534円、改定率は1.9%と、賃金改定の額・率はともに令和3年調査時の数値を上回りました。
この背景には、商品やサービスの値上げに向けた価格交渉への企業努力も関係していると言えます。経済産業省が中小企業に対して定期的に行っている「価格交渉促進月間のフォローアップ調査」(令和5年3月)によれば、前回調査時(令和4年9月)と比べて「取引先と価格交渉ができた」とする割合が5ポイント上昇(58.4%➡63.4%)。また、価格転嫁ができた企業の多くが、「原価を示した価格交渉」が有効だと回答しています。
賃上げには、その原資となる限界利益の確保が欠かせません。価格交渉はその一例ですが、限界利益確保のための方策を一緒に考えてみましょう。
1.保険料控除申告書作成の注意点
(1)「社会保険料控除」の注意点
所得者本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料を所得者本人が支払った場合、その支払った金額は、所得者本人の社会保険料として控除することができます。例えば、大学生の子供の年金保険料を親(所得者本人)が支払った場合等が該当します。
社会保険料には、次の⓵と⓶があり、その全額が控除されます。
⓵健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの保険料や掛金のように毎月の給与から差し引かれているもの(「社会保険料控除」欄に記載する必要はありません)
⓶国民健康保険や国民年金などの保険料(税)、掛金のように本人が直接支払っているもの(本人から提出された保険料控除申告書の金額に基づいて控除します)。
(2)年の中途で生命保険契約を解約し解約一時金を受け取った場合の生命保険料
その年中に生命保険契約の保険料を支払った場合には、生命保険料控除の適用を受けることができます。
年の中途で解約した場合でも、解約までに支払った保険料については生命保険料控除の適用を受けることができます。解約一時金を受け取った場合は原則として一時所得となるので、支払保険料の金額から控除する必要はありません。
剰余金の分配や割戻金の割戻しがある場合には、その金額を支払保険料の金額から控除しなければなりません。ただし、解約時に解約一時金とともに、または解約一時金の支払を受けた後に支払を受ける剰余金の分配や割戻金の割戻しの金額は、原則として一時所得の収入金額に算入しますので、支払保険料の金額から控除する必要はありません。
2.年末調整後に申告内容に変更があったときの年末調整のやり直し
年末調整が終了した後、12月末日までの間に、次のような申告内容の変更がある場合は、年末調整のやり直しが必要になります。
⓵本年分の給与の追加払いがあった。
⓶結婚、出産などで扶養親族等の数に異動があった
⓷配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けた配偶者や受給者本人の年収が変わって、所得の見積額に差額が生じた
④年末調整後に生命保険料・地震保険料などを支払った
⑤控除が適用になる申告を忘れていた
年末調整のやり直しができるのは、「給与所得の源泉徴収票」を従業員に交付することとなる翌年1月末日までです。それ以降は、従業員自身で確定申告によって訂正・修正をすることになります。
1.外国人材を雇用して給与を支給する場合の注意点
主な税務処理については下記となります。
(1)所得税関係
〇外国人を雇用して給与を支払う場合、その給与は国内源泉所得に該当しますので、「居住者」の場合は通常の源泉徴収税率、「非居住者」の場合は20.42%での源泉徴収を行うことになります。なお、居住者の場合には年末調整の対象となり、非居住者の場合には対象となりません。
〇「居住者」とは国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人とされています。また、国内に居住することとなった個人が契約等により「継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する」要件を満たす場合は、国内に住所を有する者と推定されて「居住者」と扱われます。これらに該当しない場合は「非居住者」とされます。
〇租税条約による短期滞在者免税・留学生免税等は次の通りです(その他の免税については租税条約を確認する必要があります)。
<短期滞在者免税>
外国法人に勤務する非居住者が出張で日本に短期滞在する場合で、条約締結国(日本)に短期間滞在(原則、滞在期間が183日以内)する場合には一定の要件を満たす必要があります。
<留学生免税>
専ら教育をうけるために日本に滞在する学生等で、その者が生計、教育のために受取る給付、または所得を、一部または全額を免税とするものです(中国、韓国、タイなど)。
※学生だけでなく、事業修習生、研修生を対象とする条約(中国)等もあります。
(2)住民税(所得割・均等割)
〇その年の前年に所得があり、その年1月1日(賦課期日)に日本に住所がある者が課税対象となります。この場合、雇用主(特別徴収義務者)は、原則として「給与」の支払を行えば、住民税について特別徴収する必要があります。また、退職した場合には、退職した月の翌月以降特別徴収をする必要がなくなります。
2.外国人材の活用に係る支援制度
社内マニュアルの翻訳や外国語の標識の設置等が必要になる場合、その支援策として「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」という制度が整備されています。
賃金要件を満たす場合は支給対象経費の3分の2(上限額72万円)、満たさない場合でも支給対象経費の2分の1(上限57万円)の助成を受けられることがあります。
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