1.経営に関わる主な制度改正
(1)電子取引データの電子保存の本格義務化
2024年1月1日から、電子取引データ(PDFファイル等で受け取った請求書・見積書等)の電子データによる保存が本格的に義務化されます。原則として「電子取引データの紙による保存」が認められなくなります。
(2)暦年課税制度・相続時精算課税制度の見直し
これまで3年以内だった暦年課税制度における相続前贈与の加算期間が、2024年1月1日以後の贈与からは7年以内に順次延長されます。
また、相続時精算課税制度には、2024年1月1日以後の贈与から、特別控除2,500万円とは別に、毎年110万円の基礎控除が新設されます。
(3)建設業・自動車運転の業務・医師の残業規制開始
2024年4月1日から建設業・自動車運転の業務・医師の時間外労働の上限規制が始まります。
(4)相続登記の義務化
2024年4月1日から、相続または遺贈によって家や土地等の不動産を取得した際には3年以内に登記しなければなりません。
(5)フリーランス保護新法施行
昨年公布された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(フリーランス保護新法)は2024年秋ごろまでに施行予定です。
(6)社会保険の適用拡大
2024年10月1日から、「従業員51人以上」の企業を対象に、一定の条件を満たすパート・アルバイト従業員への社会保険適用義務が広げられます。
2.制度改正への対応時に利用できる税制措置や助成金等
(1)相続登記についての登録免許税の免税措置
2025年3月31日まで、次の2つのうちいずれかに該当する場合に、該当部分の登録免許税が免税となります。
①相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合
②土地の相続登記をする際の課税標準となる土地の価額が100万円以下
(2)キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)
社会保険への加入義務が生じる「106万円の壁」の対策として設けられました。2023年10月1日以降、事業主が新たな社会保険の適用を行い、かつ従業員の手取りが減らないような取り組み(「社会保険適用促進手当」の支給等や労働時間の延長等)を行った事業者が活用できる助成金です。労働者1人あたり最大50万円が助成されます。
(キャリアアップ助成金|厚生労働省 (mhlw.go.jp))
1.期首・期中・期末での黒字決算に向けた具体的な打ち手
(1)期首の打ち手
次のような視点から、自社に必要となる経常利益を具体的に計算し、目標を決めましょう。
〇現在赤字の場合は、それを解消し、収支を均衡させる
〇借入金を計画的に返済していけるようにする
〇現預金を増やしてキャッシュフローを安定させる
〇新規事業や大規模修繕等のために資金を積み立てる
〇将来の「目標自己資本比率」を設定し、それが実現できるようにする
(2)期中の打ち手
目標達成に向けた期中の具体的な打ち手としては、次のような取り組みが挙げられます。
〇売上高を増やす
価格や値引きの見直し、無料の業務やサービスの有料化、顧客リストの作成 等
〇限界利益を増やす
物流のコストの見直し、歩留まりの改善、限界利益率が高い商品の販売促進 等
〇固定費を見直す
DXの推進による効率化、省エネ設備等への切り替え、人件費の見直し 等
(3)期末の打ち手
決算を見据えて、経常利益が目標より多い場合、少ない場合にそれぞれの対策を行います。
〇経常利益が目標よりも多すぎる場合
決算賞与の支給、減価償却資産や30万円未満の備品の購入、不良在庫の処分 等
〇経常利益が目標に達しない場合
土地や株式等の処分、役員報酬や交際費等の節減、来期への経費の先送り 等
1.日本でも世界でも、採用進む「ペポルインボイス」
「Peppol(ペポル)」とは、受発注や請求にかかる電子文書をネットワーク上でやりとりするための国際標準規格です。
同規格は、ベルギーにある国際的な非営利組織「OpenPeppol」という団体により管理されており、現在はEU(欧州連合)をはじめ、シンガポールやオーストラリア、ニュージーランドなど、世界30か国以上で採用されています。
日本においては、2021年9月から、デジタル庁が「OpenPeppol」のメンバーとなり、日本におけるペポルの管理局として、ペポルネットワークでやり取り可能な電子インボイスの標準仕様を策定・管理しています。
2.送信/受信側で異なるシステム間の請求書データのやりとりが簡単に!
ペポルインボイスの特徴として下記のようなものが挙げられます。
〇ペポルID(法人番号等の公的な番号)でやりとりするため、アドレス管理が容易
〇ペポルインボイスの送信/受信側で異なるシステム間でもデータのやり取りが可能
〇インボイスの記載要件を満たしているかが、送信時に自動でチェックされる
〇システムでインボイスのデータを正確に読み取り、仕訳を自動生成できる(OCR等は不要)
〇郵送より安い
2023年10月からスタートしたインボイス制度ですが、その種類(紙・電子)や記載事項の位置等は企業によって異なるため、インボイスを受け取った後の内容確認や仕訳入力作業が「煩雑になった」と感じている方もおられるのではないでしょうか。
また、同制度への対応のため、専用EDIシステムを導入する企業も増えました。けれどもその一方で、請求書を受け取る側の企業にとっては、「操作方法が分かりにくい」「企業によって扱うシステムが異なるため、請求書処理のたびに複数のシステムを起動してかえって手間が増えた」といった声も聞かれます。
加えて、紙でインボイスを送付する場合には、印刷・封入・投函の手間と郵便代や用紙代、封筒代、トナー代、人的コスト等がかかります。
ペポルインボイスの利用によって、こうしたインボイスの発行・確認にかかる作業やコストを大幅に削減することが可能となります。
ペポルインボイスの利用を検討されている場合は、当事務所にご相談下さい。
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