1.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
中小企業者等が、取得価額30万円未満の事業の用に供する減価償却資産を取得等した場合に、一定の要件のもと、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる特例があります。
この特例の適用対象となる資産は、器具及び備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産です。また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。
この特例の適用を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告する等の対応が必要です。
2.仮払金の精算
「仮払金」は、金銭を支出したが、その支出目的や支出金額が確定していないときに、それが確定するまでの間、一時的に処理する勘定科目です。接待や出張、物品購入等のため、役員や従業員に一定額の金銭を前渡しする場合に、仮払金で処理し、後日、精算して、取引内容に見合った適切な勘定科目(交際費、出張旅費、消耗品費等)に振り替えます。
仮払金は、一時的に処理する勘定科目のため、きちんと精算して、決算書に残高が計上されないようにします。
役員や従業員に対する仮払金が常態化し、残高が増加している場合、税務調査において、その仮払支出が役員や従業員に対する給与や貸付金と判断されるおそれがあります。その場合、仮払金の回収の可能性の有無が確認され、臨時的な給与であると判断されてしまうと、源泉所得税の徴収漏れが指摘されます。役員の場合には、事前確定届出給与の規定に抵触する恐れも出てきてしまいます。
仮払金は、決算期に関わらず、社内のルールに基づいて適時・適切に精算できるように意識しましょう。
3.短期前払費用として損金算入ができる場合
前払費用は、原則として、支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に損金の額に算入すべきものです。ただし、法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、短期前払費用として、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。
なお、借入金を預金や有価証券等に運用する場合の借入金に関連する支払利子等、収益の計上と対応させる必要があるものについては、1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので、注意が必要です。
1.仕入れから回収までの各期間を帳表で確認してみよう
「棚卸資産回転期間」「売上債権回転期間」「買入債務(支払基準)回転期間」の3つは、当事務所が決算書としてお渡ししている「経営分析表」で確認することができます。更に3期比較でそれぞれの指標を確認することもできますので、前期、前々期との比較の中で、各期間の日数がどのように変化したかを確認するところから、資金繰りの改善策を検討してみましょう。
2.資金繰り改善のポイント
資金繰り改善のポイントには、次のようなものがあります。
●回収条件の良い得意先にシフトしていく
●売れ筋を中心とした製品・商品の構成に変える
●計画生産・適正在庫を徹底する
どのような方法をとる場合でも、仕入れたものより早く売り、なおかつ、その代金は早く回収することを心がけましょう。
また、一般的に、売上が増加すれば、売上債権・棚卸資産が増加しますが、同じように買入債務も増加します。そのため。売上債権が最終的にキャッシュとして回収されるまでの間に、買入債務の増加した分を支払うための資金が必要となります。
業績が好調な時や、成長を目指したい時ほど、「業績は好調なのに、なぜか資金繰りが厳しい」という状況に陥りがちです。そうならないよう、日頃からキャッシュ・フローを意識した経営を心がけると良いでしょう。
3.入ってくる資金を「早く」するアイデア
例えば、警備サービス会社のセコムでは、創業当時、3ヵ月分の警備料金を前納してもらう仕組みを苦戦しながらも貫き通し、サービス代金を先行して回収するサイクルが確立されたことで十分な運転資金の確保につながりました。また、スーパーのコストコでは年会費を設定するという小売業界の慣例にはない発想で運転資金を確保し、資金繰りを安定させています。
それ以外にも次のようなものがあります。
●公共交通機関の回数券や喫茶店のコーヒーチケット
●卸売業等の保証金
●サブスクリプションサービスの導入
これらの特徴は、製品やサービスを提供する前に売上の入金が行われること。こうしたビジネスモデルを取り入れていくことも、「キャッシュ・フロー経営」を行うための第一歩となります。
1.令和6年4月1日以降に書面で明示すべき事項
令和6年4月1日以降に書面で明示すべき事項を表にまとめると、次のようになります。
下線部4つが新しく追加される明示事項です。雇用契約書等の書面を見直し、全ての事項がもれなく記載されていることを、あらためて確認しましょう。
2.非正規雇用労働者への明示事項
令和3年4月1日に全面施行された「パートタイム・有期雇用労働法」(「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)では、すべてのパートタイム・有期雇用労働者を対象に、上記4つの労働基準法に定める事項に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を文書(電子メール等でも可)により明示することを事業主に義務付けています。
派遣労働者については、派遣元となる事業者が、派遣先での労働条件を就業条件明示書等の書面で明示する必要があります。その際、上記4つの事項に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「労使協定の対象となる派遣労働者であるか否か(対象である場合には、労使協定の有効期間の終期)」「派遣労働者から申し出を受けた苦情処理に関する事項」を文書の交付(電子メールでも可)により明示する必要があります。
3.求人の際の明示事項も追加に
新規雇用・契約更新の際のルール変更とともに、令和6年4月1日から求人の際に明示する労働条件にも「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働条件を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)」が追加されます。
ハローワークへの求人の申し込みや、自社のWebサイト・SNSでの募集、求人広告への掲載等を行う際、求人票や募集要項で労働条件を明示することが必要になります。あらためて準備と確認をしておきましょう。
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