令和6年6月号

税務:給与計算担当者のための「定額減税」取扱いの最終チェック

1.月次の減税事務が必要となる人は?

月次の減税事務が必要となる従業員は、次の①から⓷のすべてに当てはまる人です。

①令和6年6月1日現在在職している

②すでに会社に対して「扶養控除等申告書」を提出している

⓷居住者である


2.月次の減税事務、年末調整の減税事務を行う上でおさえておきたい留意点

月次または年末調整の減税事務を行う上で、主に以下の留意点をおさえておきましょう。

①従業員を6月2日以後新たに雇用したとき

 月次の減税事務は行わず、年末調整で清算します。

②従業員の扶養親族に異動があったとき

 月次の減税事務を最初におこなうときまでに提出されている「扶養控除等申告書」または「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」に基づいて月次の減税額を算出することとされています。そのため、月次減税の開始後に扶養親族に異動があったとしても、毎月の控除額は変更されません。年末調整で清算します。

⓷従業員・扶養親族の合計所得金額が見積額から大きく変わるとき

 ②同様に、月次の控除額は変更されず、年末調整で清算します。

④従業員がふるさと納税を行っている場合

 ふるさと納税は、従来と変わらず定額減税前の所得割の2割を限度とされています。特別の対応は必要ありません。

⑤従業員が住宅ローン控除を受けている場合

 年末調整時に、住宅ローン控除を適用した後の税額から定額減税額を控除します。

個別のケースの対応方法については、次の二次元コードから「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(国税庁)、「個人住民税の定額減税に係るQ&A集」(総務省)もご参照下さい。



経営:「交際費」、安易に使っていませんか?

1.交際費等の損金不算入額の計算

中小企業(資本金1億円以下の法人)の場合、年間800万円まで損金算入が認められています。 また、1人1万円以下の飲食費(ここでは「少額飲食費」とします)を除いた「接待飲食費」の額の50%相当額が損金算入可能となる特例もあります。

中小企業では、これら2つの特例の選択適用ができますが、資本金が1億円を超えると「年間800万円」の特例は使えなくなり、 また、資本金の額が100億円を超えると、交際費等を損金に算入することはできなくなります。ただし、少額飲食費をはじめとする、交際費等の範囲から除外されるものについては、中小企業同様に損金に算入することができます。

これらをまとめると、下の【図表】のようになります。


2.交際費等と紛らわしい支出の例

次のような支出は「交際費等」に該当しません。

〇事業に関係のない社会事業団体への寄付等→寄付金

〇得意先等に対する見本品、試用品の供与に通常要する費用等→広告宣伝費

〇従業員やその親族への慶弔費等→福利厚生費

〇常時雇用する従業員の昼食費等→給与等

【参考】

国税庁タックスアンサーNo.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の試算」

国税庁 租税特別措置法関連通達(法人税編)「第8章 交際費等の課税の特例」


税務:デジタル化への対応で税務手続きがスムーズに!

1.国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」

国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」(令和5年6月公表)では、次の3つの柱に基づいて施策を進めるとしています。

①納税者の利便性の向上

普段、税に馴染みのない方でも、日常使い慣れたスマートフォン、タブレット、パソコンなどから簡単・便利に手続きができる環境を目指し、申告(納付・還付)、年末調整の簡便化などを進めるとしています。

②課税・徴収事務の効率化・高度化等

例えば、AIも活用しながら幅広いデータを分析し、申告漏れの可能性の判定、滞納者の状況に応じた対応方法の判別など、課税・徴収の効率化に取り組むとしています。また、税務調査や滞納整理に対して行う金融機関への預貯金等情報の照会も、オンライン化を進めることで、書面・対面での対応をなくし、国税当局、金融機関双方の事務負担の軽減が図られます。

⓷事業者のデジタル化促進

これからは、事業者の日常業務のデジタル化を推進するとしています。例えば、受発注や請求・支払・入金といった日常的な業務をデジタル化することで、生産性の向上を実現するとしています。


2.e-Taxにより申告書を提出している法人等への「納付書」の事前送付の取りやめ

税務手続きのデジタル化の一環として、令和6年5月以降発送分から、e-Taxにより申告書を提出している法人等への「納付書」の事前送付が取りやめになっています。対象は次の法人・個人です。

〇申告書を、e-Taxにより提出している、またはe-Taxによる提出が義務化されている法人

〇e-Taxで「予定納税通知書」の通知を希望している個人

〇キャッシュレス納付など「納付書」を使用しない手段で納付している法人・個人


これまでe-Taxで申告し、「納付書」を利用して納付していた関与先は、「自動ダイレクト」などのキャッシュレス納付に切り替えるようしましょう。

「自動ダイレクト」を利用するには、「ダイレクト納付利用届出書」を提出し、登録を完了しておく必要があります。

「自動ダイレクト」の場合は法定納期限当日(法定納期限当日に申告手続きをした場合は翌取引日)に自動的に口座引き落としで納付されます。

注意点として、残高不足等で引き落としができないと、法定納期限の翌日から納付日までに延滞税がかかる場合があります。引落日の前日までに預貯金口座の残高確認が必要です。


事務所名岸野有紀 公認会計士・税理士事務所
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岸野有紀公認会計士・税理士
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