1.インボイス制度における買手側(インボイス受領者)のインボイスへの追記について
インボイス制度では、受け取ったインボイスに「軽減税率対象品目である旨」「税率ごとに区分して合計した対価の額」などの記載もれがあっても追記することは認められません。ただし免税事業者等からの課税仕入については、経過措置期間(当初3年間は80%控除、以後3年間は50%控除)である6年間は、インボイス受領者側が追記することが認められています。
2.インボイス制度での税額計算の方法
インボイス制度では、税率ごとに集計した取引金額を割り戻して計算する方法(割戻し計算)と、インボイスに記載した税額を積み上げて計算する方法(積上げ計算)の選択制とされます。税額計算についても税率ごとに区分して計算することが必要になります。
割戻し計算と積上げ計算、どちらが税額は小さくなるでしょうか。それは積上げ計算です。税込み100円で100回取引したケースを考えてみると分かり易いと思うのですが、以下諸々簡単な設定で計算してみると‥
割戻し計算:100円×100回/110×10=909円の税額となります
積上げ計算:100円/110×10=9円(切捨て)、9円×100回=900円の税額となります
納税額を小さくしたいと考えた場合、売上に係る税額は積上げ計算、仕入に係る税額は割戻し計算したい!と思うところですが、そこはできないように定められています…。
(1)売上に係る税額の計算
原則は割戻し計算(税率ごとの税抜金額(税込金額総額を税抜金額に割戻した金額)×それぞれの税率)になります。ただし特例で積上げ計算が認められています。
(2)仕入に係る税額の計算
原則は積上げ計算ですが、特例として割戻し計算が認められています。ただしこれを適用できるのは売上に係る税額計算で割戻し計算を適用した場合に限られています。いいとこどりはできないようになっているということです。
売掛金の回収は資金繰りに影響しますので、自社の管理状況の点検は経営上重要となります。
1.回収リスクを避けるための与信管理
言うまでもないことかもしれませんが…取引先ごとに与信限度額を設定します。与信限度とは売掛金の上限金額のことで、これ以上掛け売りできない限界点です。与信限度額の計算の簡単な方法として、以下一例を…
一か月平均売上高×回収サイト(月数)=与信限度額
ある取引先に月平均50万円の売上があり、回収サイトが2カ月だとしたら、当該取引先の与信限度額は100万円ということになります。ただし当該取引先が弁済できる財務内容だった場合などは、限度額をもう少し広げてもいいということになりますので、簡単な計算だけでは設定できないことになりますね。
2.与信限度額を設定するための注意点
自社の売上や売掛金に対する占有率、つまり自社の売上全体に対してその企業が何割の売上を占めているかがポイントです。与信の観点からは自社の売上に対する占有率割合は3割程度が理想と言われています。
メインの取引先1社に売上高の半分以上を依存している場合はその企業が倒産すると致命的な打撃を受けることになりますので、占有率が高い取引先の売掛金回収には特に注意が必要です!!
1.パートタイマーへの社会保険の適用拡大
従業員数が501人以上の事業所では、一定の条件を満たしたパートタイマー等について、社会保険(厚生年金保険、健康保険)へ加入しなければなりません。この加入義務ライン(501人以上)が今後2段階で引き下げられます。
〇令和4年10月以降:従業員数(被保険者数)が101人以上
〇令和6年10月以降:従業員数(被保険者数)が51人以上
※従業員数のカウントは事業場ごとではなく同一の法人番号である法人ごとにカウント
一定の条件を満たしたパートタイマー等とは、以下①~④の全てに該当する人です。
①週の所定労働時間が20時間以上
②月額賃金が8万8,000円以上
③雇用期間が2カ月以上の見込
④学生ではない
パートタイマーの中には、労働時間を短縮して社会保険の被保険者にならないように働く人、従来通りの労働時間のまま働く人、労働時間を延長して今以上に働く人など、さまざまなケースが考えられます。
企業は、社会保険の被保険者が増えると、社会保険料の事業主負担が増えることになり、労働時間の短縮希望者が多ければ人手の確保も必要になります。制度改正について事前の周知を行うとともに、今後の働き方について個々のパートタイマーの希望を確認し、会社としてはそれに伴う手当てを検討しておく必要があります。
2.在職老齢年金における「在職定時改定」の導入
令和4年4月から「在職定時改定」が導入されます。この制度は、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を毎年10月に改定し、それまで収めた保険料を年金額に反映させるというものです。従来は65歳以降も働いて収めた保険料が年金額に反映されるのは70歳以降であったため、高齢の従業員の就労意欲を削ぐとの懸念がありそれに対応したものです。
「在職定時改定」により65歳以上で仕事をしながら厚生年金に加入し、老齢厚生年金の受給者であれば、毎年1回年金額が改定されます。具体的には毎年9月1日時点において厚生年金の被保険者であれば前月までの加入実績に応じて10月から年金額が改定されます(改定後の10月分の年金額は12月に支給)。
3.中小事業主へのパワハラ防止措置の義務化
4月1日より、これまで中小企業(中小事業主)については努力義務であったパワーハラスメント防止措置が義務化され、事業主は、以下の措置を講じることが必要となります。
〇事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
〇相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
〇職場におけるパワーハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応
〇そのほか併せて講ずべき措置
・相談者・行為者等のプライバシー保護のための措置をとり、労働者に周知すること
・相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
事務所名 | 岸野有紀 公認会計士・税理士事務所 |
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