1.面談機会が減少傾向であっても緊密なコミュニケーションを
コロナ禍においてオンライン面談を取り入れている金融機関も少なくありません。またコロナ禍以前から金融機関は店舗の統廃合や人員配置の見直しなどを進めているため、自社の最寄の支店が閉鎖される、毎月訪問していた金融機関の担当者がすぐ来てくれない、訪問回数が減る、ということが起きています。
金融機関との面談機会が減少傾向にあるからこそ、積極的な情報開示によって、緊密なコミュニケーションをとることが重要です。
2.金融機関は変化した項目に着目している
金融機関が融資先の業績を確認する際、期中の業績については前月や前々月との比較を、年次の決算書については前年との比較を行い、その数字の変化に着目し、そこから業績予測などを行います。月次試算表など、増減科目が一目で分かる資料を添えて、その要因を説明します。さらに今後の売上の見通しなど、将来についても金融機関に説明することが大事です。その際には、注文書や見積書、受注契約書、売上明細、請負工事明細(建設業)などの資料をもとに、いつ、どれくらい売上が増えるか、具体的に説明できるとよいでしょう。
3.融資を申し込むときは必要資金を明確に
例えば、売上減少や原材料高騰で運転資金が必要になる場合、その金額を明確にしておきます。金額設定があいまいだと、金融機関のヒアリングも長くなり、先の身通しが甘いと思われてしまう可能性があります。また必要額を正しく把握していないために過剰な融資となって、今後の返済が負担となってしまうことも考えられます。
申込をする前に、月次試算表などの資料を基に、運転資金の必要額を明確にすることが求められます。それにより金融機関のヒアリングもスムーズになり、融資実行までの時間を短くすることに繋がります。
1.電子取引データの法令の要件を満たす保存方法を確認する
保存の要件を満たすためには、改竄防止措置(真実性)、可視性、検索性、保存期間が課題になります。自社でその対応を行うのは大変なため、専用の保存システムの利用が有効となります。
保存システムを利用しない場合には、訂正削除が可能となることから、保存ルールを明確にして、「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を整備して管理する必要があります。
2.その他の留意点
①消費税法の取扱い
現行の消費税法では「仕入税額控除の要件」として、原則「書面」での保存が必要になります(その事実を記載し、区分経理に対応した帳簿及び事実を証する請求書等の両方を保存する必要があります)。一方で「やむを得ない理由」がある場合には、帳簿に「やむを得ない理由および相手方の住所または所在地等」を記載して保存することで、仕入税額控除が認められる例外もあります。
なお、令和5年10月1日から改正消費税法が施行され、適格請求書(インボイス)の電子データ(電子インボイス)の提供による仕入税額控除も可能になる予定です。
電子取引データの仕入税額控除の取扱いについては、電子取引データは請求書等に記載されるべき法定事項が通信回線を介してコンピュータ間で電子データとして交換されるため、請求書等そのものが作成・交付されないこととなり、当該電子データ以外の保存が行えない状況となります。これは請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合に該当すると考えられ(基通11-6-3(5))、従って帳簿に記載すべき事項に加えて、インターネットを通じた取引による課税仕入れであること及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載して保存する場合には、仕入税額控除の適用を受けることができるとあります。
詳細は国税庁ホームぺージ「インターネットを通じて取引を行った場合の仕入税額控除の適用について」をご確認下さい。
JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)発行の「電子取引 取引情報保存ガイドライン」において、インターネットバンキングはEDI(電子データ交換)取引に該当すると明記されています。従って、ネットバンキングシステムが電子帳簿保存法の保存要件をすべて満たす場合を除いて、例えば、振込みをした場合に表示される振込結果画面は、電子取引データとして保存が必要になるということです。この場合、振込結果画面のPDFのダウンロードデータ等のファイル名に、日付・相手先・ 金額を入力するなどの一定の方法によって検索性要件を満たす等の対応をして保存すること になるでしょう(電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問12等)。ただしこの方法では、訂正・ 削除が可能になってしまうことから、『電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程』が必要になります。なお、紙の通帳がない場合には、入出金明細も同様に保存が必要になると考えられます。
1.役員と会社の金銭等の貸し借り
①役員が会社に貸す金銭が多額の場合
役員が会社に金銭を貸す場合、貸付金額が運転資金程度であれば問題はないでしょうが、多額な場合、税務調査において、その資金を役員がどこから調達したかが問題視されることがあります。
②役員が会社から緊急に資金を借りる場合
不慮の災害・疾病等によって臨時に多額の生活資金が必要となった役員に対して、会社がその資金を貸し付けるケースがあり、この場合は貸付金額や返済期間が合理的な範囲であれば、無利息または低い利息であっても、役員への給与として課税しなくてもよいことになっています。会社側も役員給与として処理する必要はありません。ただし、結婚、入学金、高額商品の購入等のための貸付けは、不慮の事態とはいえず、予定される家事等の費用であることから無利息とする事由に該当しません。
2.役員と会社の関係を明確に区分・分離する
中小企業における経営者による個人保証(経営者保証)のない融資、またはすでに提供している経営者保証の見直しについて、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」を定めた「経営者保証ガイドライン」では、以下のように、法人と経営者との明確な区分・分離に努めることを求めています。
「主たる債務者は、法人の業務、経理、資産所有等に関し、法人と経営者の関係を明確に区分・分離し、法人と経営者の間の資金のやりとり(役員報酬・賞与、配当、オーナーへの貸付等をいう)を、社会通念上適切な範囲を超えないものとする体制を整備するなど、適切な運用を図ることを通じて、法人個人の一体性の解消に努める」
同ガイドラインは、法的な拘束力はないものの、中小企業、経営者、金融機関などの関係者が自発的に尊重し、遵守することが期待されているものとなります。経営者保証を解除するかどうかの最終的な判断は金融機関に委ねられます。
3.役員の社用車に注意
役員用の社用車を会社の業務使用目的で購入しても、税務調査において、会社業務への使用状況等から役員個人のものではないかとの疑念を持たれる場合があります。
例えば、嗜好性の高い改造を施していたり、買い替えが頻繁であったり、車庫証明の住所が自宅になっているなどは要注意です。
そこで、会社の業務として利用しているのであれば、運転日報に利用区分、走行距離のメーターの数字を記録するなど、事業用であることを証拠として残しておく必要があります。
事務所名 | 岸野有紀 公認会計士・税理士事務所 |
---|---|
所長名 | 岸野 有紀 |
所在地 | 〒178-0063 東京都練馬区東大泉1-36-10 |
電話番号 | 03-6478-9765 |
Mobile | 070-8476-4425 |
FAX番号 | 050-3457-7818 |
info@kishino-cpa.com | |
業務内容 | ・創業・独立の支援 ・法人及び個人事業の顧問 ・経営計画の策定支援 ・セカンドオピニオン ・保険指導 |