令和4年10月号

経営:めざせ!付加価値経営(その1)付加価値を増やす経営をしてみませんか?

1.「変動損益計算書」とは

全ての経費を売上にともなって増減するかしないかにより、「変動費」と「固定費」に分けて表示した損益計算書のことを言います。

 〇「変動費」:商品仕入原価や材料費など、売上高の増減によって変わる費用

 〇「固定費」:人件費や地代家賃など、売上高の増減によって変わらない費用

いわゆる制度会計のように作成が義務づけられているものではなく、社内の業績管理に有効な様式、いわゆる管理会計として活用されているものです。

2.「通常の損益計算書」と「変動損益計算書」の違い

(1)通常の損益計算書

製造原価に人件費などの固定費が含まれるため、売上総利益は売上高に比例しません。

(2)変動損益計算書

変動費は、売上高の増減に伴って変わるため、売値や仕入値が変わらない限り、限界利益率は一定となります。つまり、限界利益は売上高に比例します。

(3)変動損益計算書のメリット

①売上高の増減によって限界利益の増減がすぐにわかる

例えば、売上高が10%増えれば、変動費・限界利益も10%増加しますので、売上高の増減によって限界利益がどれだけ増減するかがすぐに分かります。

②商品1個あたりの限界利益がすぐにつかめる

商品1個あたりの限界利益は次の算式で求めることができます。

 〇商品1個あたりの限界利益 = 商品単価ー商品1個当たりの変動費

                =   商品単価×限界利益率

従って、商品をいくつ販売すれば、その商品によって限界利益をいくら稼げるのかといった販売数量での試算が簡単にできます。

経営:収益力を改善するための計画をつくろう!

本年4月に改訂された「ポスコロ事業」では、より利用企業の収益力改善につながるよう「早期経営改善計画策定支援における着眼点」や「伴走支援における着眼点」などが中小企業庁から公表されているので、参考にしましょう。

1.早期経営改善計画策定支援における着眼点

①現状分析、②経営課題明確化、③課題解決策検討、④アクションプラン策定、⑤損益計画策定、⑥資金繰り検討、についてそれぞれ着眼点を解説しています。

例えば、現状分析の着眼点として、会社の基本情報をはじめ、過去の損益実績と変動理由等の財務分析や、具体的な商品・サービスの流れ、売上構成などの推移等の商流把握など、企業の実態を詳細に把握するためのポイントがまとめられています。


2.資金繰り検討の着眼点

資金繰り見直しの精度をあげ、突然の資金不足を回避するためには、企業の入手金状況を分析して今後の資金収支を予想し、資金不足が懸念される場合は対策を講じます。

①債権債務の回収・支払条件を確認する。

②月次売上・仕入・外注の予定金額は、売上の受注予定や季節性等を勘案する。

③借入金の返済予定、設備投資・改善予定等を確認する。

④上記の検討結果等を踏まえて月次の資金収支を計算し、資金不足が懸念される場合は対応策を検討する。


3.伴走支援の着眼点

認定経営革新等支援機関は、次のような着眼点で、策定した経営計画が計画通りに進捗し、経営改善が図られているかどうかを確認・分析し、事業者への改善アドバイスや金融機関等への報告支援等を行います。

①【進捗確認】数値計画と実績の差異状況を確認。

②【取組状況の確認】計画で実施することとしたアクションプランについて、その取り組み状況を確認。

③【対策等の検討と事業者へのアドバイス】数値計画と実績に差異がある場合、またはアクションプランが予定通り実施されていない場合には、その原因を分析し、必要に応じて、対応策を検討し、事業者へ改善に向けたアドバイスを行う。

④【報告支援】数値計画の進捗状況、改善策の実施状況等を整理して報告書を作成し、金融機関等に報告するとともに、中小企業活性化協議会に所定の書式で報告。

【参考資料】

中小企業庁ホームページ「早期経営改善計画策定支援事業」


労務:今後増加する!?法定福利費(事業主負担)について知っておこう

1.従業員負担分の各法定福利費の料率・料額

法定福利費のうち、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、事業主と従業員が折半して負担します。ただし、下記2点については、注意が必要となります。

 ①こども・子育て拠出金と労災保険料は事業主のみが負担

 ②雇用保険料の従業員負担は3/1000または4/1000(令和4年7月31日現在)

雇用保険料の事業主負担分が従業員より多いのは、雇用保険二事業(若者の就労支援や高齢者の再就職支援等の雇用安定事業、職業訓練等の能力開発事業)の保険料(料率3.5/1000または4.5/1000(令和4年7月31日現在))を事業主のみが負担するためです。

2.戦略給与情報システム(PXシリーズ)で社会保険・労働保険に関する事務を合理化

(1)パート・アルバイト従業員の社会保険料額などを簡単にチェック

「短時間労働者該当チェックリスト」を活用して、社会保険の加入対象となっているパート・アルバイト従業員を簡単に把握します。また、従業員それぞれの標準報酬月額や、会社負担の社会保険料額を確認することもできます。

(2)電子申請で事務を省力化

PXシリーズは、各種保険のCSVファイル添付方式での電子申請にも対応しており、届出書の手書きや複数の窓口へ行く手間を軽減できます。

(3)給与計算を含む一連の流れを自動化

PXシリーズは、勤怠システムと連携させることで残業代まで含めた給与計算の自動化が可能です。また、給与・賞与の仕訳データを戦略財務情報システム(FXシリーズ)に連携させれば、経営戦略の策定にも活用することができます。


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岸野有紀公認会計士・税理士
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